2012年5月15日 (火)

ソーシャルゲームに対する反応に違和感

 「コンプガチャ」の自粛が話題である。
 昨年から、やたら景気のいい話が続いていた「ソーシャルゲーム」業界の初のつまづき。株価は暴落するわ、各ゲームは対策に追われるわで大騒ぎである。

 ただ、あまりにも野次馬の声が大きい。ここぞとばかりに「ほうら見ろ」とはやし立てる声にはうんざりである。新清士のツイートには、私も考えさせられた。
 
一方で中学生の子のメールで、自分で使う金額を決めてちゃんと遊んでいるのに、どうしてコンプガチャ禁止にするんですか、という問いに、私はちゃんと答えられなかった。ゲームを作る人がもっとおもしろいソシャゲを作ってくれる、としか言いようがなかった

「コンプガチャ」の商法は決して誉められたものではない。しかし、そんなゲームでも節度をもって遊び、ファンとなるユーザーがいる。そのことを忘れてはいけないと思う。
 私が思うに、これらのユーザーの多くは、お金がなくて仕方なく無料ゲームをしている、のではなく、「ソーシャル」という新しい遊びを見つけたのだ。このジャンルが潰れたところで、彼らが家庭用ゲームに回帰するわけではない。「ソーシャル」という敵を倒すことで、家庭用ゲームの景気がV字回復する、などと想像するのはお気楽な妄想に過ぎない
 ネガティブキャンペーンは、何も生まない。ユーザーを引きつけるのは新しい遊びの魅力、それだけだ。

2012年5月13日 (日)

プリンセス・トヨトミ

 原作はきっと面白い小説だったんだろうな、と思わせるが、映画としては誉められない出来。

 まず、予告と実際の内容が違いすぎるのがまずい。架空の歴史にのった壮大な謎解きものか、と思わせておいて全然違う。事前の予想が裏切られて、「ほほう、そう来たか」と楽しめるのは、通好みな作品に限られる。本作のような一般向けエンターテインメント(を標榜しているように見える)映画では、もっと内容通りの宣伝を打つべきだろう。

 綾瀬はるかがまずい。凄腕の会計監査チーム、という設定の中で一人だけアホの子になっており、うっとうしい。「JIN」のときの名演はどこへ行ったのか。

 考証がまずい。大阪弁を使うにあたって、吉本のようなオーバーな方言を廃したのは良かったが、多くの役者がたどたどしい、違和感の残るセリフになってしまった。場所の見せ方もイマイチ。空堀のあたりは良かったが、道頓堀や新世界など、有名どころの使い方がいかにも記号的。最もリアリティが感じられたのは、番組中にひょうたんを置かれる山本アナウンサー。

 キャストの中では、茶子(沢木ルカ)が抜群にいい。武将の子孫としてのオーラが全身から出ている。ヤクザの事務所に討ち入りしそうになって止められるが、「セーラー服と機関銃」をリメイクするなら主役は彼女だな、と思った。

 一日ごとにテロップが入って、区切りのある作りなので、テレビ放映でCMが入ってもあまり気にならず見やすい、…かと思ったらCMあけの巻き戻りが極端なところもあって、じゃまくさい。

 ↓特別版パッケージが素晴らしい出来だが、肝心の映画がこれでは宝の持ち腐れ。
Ptoyotomi

 無人の大阪をバーンと見せて、「大阪国独立」とか言わせておけばインパクトはあるが、それに至る作りがどうも荒っぽい。帰路で見えた富士の十字架は、大阪以外にも潜伏国家はあるのかもね、という洒落たオチなのだと思うが、この映画だと続編に意欲があるようにも見えて、どうもやらしい。

 〈親子の絆〉というテーマを持ち出して、ちょっとイイ話にしておけば許されると思うなよ

豪華キャスト詐欺 6
予告詐欺     7
パッケージ詐欺 8
個人的総合  4

2012年5月11日 (金)

ももへの手紙

 アニメというジャンルで、ロボットやらファンタジーやらという空想的な題材のものがたくさん出てくるのは納得できるが、なぜ、田舎暮らし、などというテーマのものがこうも多いのだろう。同ジャンルの作品を私の評価の順に並べるとこんな感じ。

マイマイ新子と千年の魔法 > 河童のクゥと夏休み > となりのトトロ > ももへの手紙 > サマー・ウォーズ > おもひでぽろぽろ >>>>> ミヨリの森

 地味さが癖になる良作だ。自然に見えるのでつい見過ごしてしまいがちだが、人物の動きがおそろしく緻密で丁寧。背景も主張は少ないがしっかり描き込まれて品質が高い。一応妖怪が出たりする話なのだが、主軸はあくまでも現実で日常。妖怪の活躍が誰かを脅かすこともなく、ももと簡単に理解しあえたりもしないのだ。安易に非日常に迎合しない距離感が、不思議な居心地の良さを生んでいる。
 一方ストーリーは、丁寧さがあだとなっていて、展開がやや冗長。提示した問題を完全に消化しきっている結末は語りすぎの感じもあるが、これは人によっては分かりやすくて後味がよい、ともとれるだろう。
 声の演技は、ももを演じた美山加恋、母役の優香ともに申し分ない出来。イワの西田敏行は、「実写版ゲゲゲの鬼太郎」「ステキな金縛り」に続いてまたもや妖怪。その安定感は抜群だ(笑)

 内容が内容だけに、なぜ夏休みのタイミングで公開しなかったのか、理解に苦しむ。

動作  9
声   9
派手さ 3
個人的総合 7

2012年5月 6日 (日)

WALL・E/ウォーリー

 言わずとしれたピクサー社の名作。昨日は「子供の日」という事で、NHKがゴールデンタイムに放送という快挙。本編カットなしはもちろんのこと、CMもなく、エンドロール後のBNL社ロゴに至るまで完全放送。ブラボー。

 子供だけに見せるなんてもったいない。「トイ・ストーリー」や「モンスターズ・インク」と違って、デザイン全般がかなりアート寄りだ。
 まず、ウォーリーをはじめとするロボットたち。一見、機能性そのままの無機的な姿は、感情移入などとてもできそうにないと感じる。しかし、ひとたびこれが動き出すと、なんともかわいらしく、演技力抜群。イヴなんかは、演技できる最小単位で作られたロボット、と考えるとデザイン的にもすごい。
 中盤以降のSF展開は、昔の映画のオマージュがふんだんに盛り込まれていて、見た目もなつかしい。人類が総メタボで、故郷を失っているのになんの危機感もない、という点は新しい。
 そしてエンディング。本編は3DCGだったのに、地球の復興を絵画史をたどって表現してみせるのが素晴らしくアーティスティックだ。ドット絵もまた絵画の歴史に入っている、ということだろうか。
 無理矢理苦言を書くとすれば、ウォーリーの相棒のゴキブリくらい。動きがリアルで寒気がするのはともかく、あの効果音はヤバイ。絶対完全につぶれてるって。

 最後に、印象に残った言葉。
外来の汚染物質
あの掃除ロボ、欲しいわ~。  

映像美    10
エンディング 10
ゴキブリ    2
個人的総合  8

他の方の注目すべき「WALL・E」評
ファミっ子大酒豪:GONさんは最近映画評をやってくれなくて寂しい
エィガ一刀両断:エガちゃんは、人間じゃなくても再現度すげえな

2012年5月 5日 (土)

卒業制作紹介「Ogre ~奪還の鬼ヶ島~」その2

 それでは、ゲーム内容です。

Ogre1
 桃太郎に制圧された鬼の生き残りが、鬼ヶ島の奪還を目指す、というのが本作のストーリー。巻物風の演出とともに、おじいさん声のナレーションが流れて雰囲気が出ています。

Ogre2
 ステージ開始時に、チュートリアル代わりの説明画面が出ます。オーソドックスな3Dアクションですが、必殺技やキャラ切り替えなど、凝った仕様も実現されています。

Ogre4
 青鬼モードは、素早い移動と双剣による軽快な攻撃。奥にいるのはエドモンド本田ではなく桃太郎です(笑)

Ogre3
 一方、赤鬼モードは、強力な金棒で攻撃します。
 学生作品の場合、キャラが選択できても、そのプレイ感覚にあまり変化がつけられていないことが多いのですが、本作は違います。遊んだ感覚が大きく異なっており、重いモーションや、地面が揺れる演出など、デザインとプログラムの連携が取れた完成度の高さを感じます。

 企画、プログラム、デザインのそれぞれにきちんと核となるメンバーがいて、協力した効果がゲームの出来となって出ているという点で、理想的な卒業制作と言えます。メイキング映像が調子こいているのですが(笑)、それだけのことはやったという自負の表れでしょう。これを自信に、次の一歩を見られる日を楽しみにしています。

2012年5月 4日 (金)

卒業制作紹介「Ogre ~奪還の鬼ヶ島~」その1

 今回は、発表会当日、プレゼンから展示用ポップからパッケージに至るまで作り込み、個人的に「ベストプロモーション賞」をあげたかったあのゲームを紹介します。

8bee.:Ogre公式

 ↑いつの間にか公式サイトからダウンロードまでできるようになってました。プロモーション活動は続行中のようです。

 卒業式の日にゲームをいただいてからはや2ヶ月、なぜ今さらの紹介になったのかというと、ダウンロードの開始を待っていたというのもあるのですが、最大の理由は私のPC環境にあります。私の勤務校では、専任講師にはPCが支給されるのですが、これが実習室を引退したマシンであるため、スペックが非常に低いのです。学生作品が自分の席では見られない、という状況に業を煮やし、春休みに思い切って自腹でPCを新調しました!

20120502

CoreI5にGeForce搭載のマシンにパワーアップ。これでようやく「Ogre」が動きました。
 内容については次回で書きますが、こいつは良くできてます。卒業制作の担当になったら、今年の学生に、見本として紹介しようと思います。

2012年5月 1日 (火)

辰年に龍の超大作

 偶然だとは思うが、辰年となるこの年に、龍の大作ゲームが出そろった。

ドラゴンズドグマ
 配信中の体験版をさっそくプレイした。1時間もかけてキャラを作ったのに、ゲームがすぐに終わってしまった。しかも、顔とか細かくこだわっても、ゲーム中にはちっとも見えん(笑)
 王道のファンタジーを信じられない丁寧さで磨き上げたという印象。「しがみつく」以外に、何か目新しいアクションがあるわけではないが、一つ一つの動きが調整されていてしっくりくる。見た目はもろに洋ゲーだが、動きはもっさりしておらず、日本のアクションらしいところもある。

ドラゴンクエストX
 発表された発売日が意外と早かった。オンライン対応ゲームとしては珍しい、低年齢ユーザーが見込まれるタイトルと言うことで、通常の月額課金に加えて無料プレイが可能な時間帯を設定するらしい。
 こうなってくると、気になるのがWiiU版。WiiU本体が、意外と間近に発売されるのだろうか。また、Wiiのプレイヤーと一緒に遊ぶことはできるのだろうか?

ドラゴンズクラウン
 ベルトフロアでアクションRPGとは、ヴァニラウェアの時代錯誤っぷりには毎度恐れ入る。
 もともとは、「エルシャダイ」のイグニッション・エンターテインメントが販売を担当していたが、どうやら日本発のゲームをあきらめたらしく、アトラスが販売を引き継いだ。一時は開発中止の噂もあったが、まずは一安心と言うところ。
 せっかくの辰年なので、ぜひ年内に発売してほしい。

 さてさて、どの龍が一番活躍するだろう。いずれのタイトルも楽しみである。

2012年4月30日 (月)

GANTZ / PERFECT ANSWER

 原作のマンガを読んでいなくて正解。キャストやストーリーの違いに困ることなく、予想以上に楽しむことができた。

 ビジュアルが相当面白い。死者が集められるガンツの部屋が、どう見てもただのマンションの一室という不可思議さ。スーツや武器のレトロなテイスト。そして、ふざけているとしか思えない姿の宇宙人との戦い。生死がかかっている真剣味を意図的に茶化しており、ガンツゲームの主催者はかなりの悪趣味だ。
 ところが、続編「PERFECT ANSWER」では、監督が変更になったのではないか、と思うほど作風が変化する。人間のアクションを追求した映像作りになっており、特に地下鉄でのバトルなどは、邦画もついにこういうことをやり始めたか、と感心する出来。
 全体を通して見ると、マンガとの比較を抜きにしても、キャスティングに問題が多い。玄野役の二宮は、ころころと性格が変わっており、結局どんな人だったのかよくわからない。多恵役の吉高は、内気でしおらしいキャラが似合っておらず、ミスキャスト。岸本役の夏菜は存在感がありすぎて、後半絶対カギを握ると思っていたのに、生き返って活躍する機会もなくてがっかり。逆に良かったのは田口トモロヲ。原作と違うと非難囂々らしいが、小心な親父を好演していた。また、「マイマイ新子」の水沢奈子が、黒服星人の一人としてセーラー服で剣戟を演じていたのには驚いた。あの部分だけ別のB級映画だ(笑)

 それにしても、マンガが終わっていないとは言え、謎を明かさずに強引にハッピーエンドに雪崩れ込むのを、PERFECT ANSWERと開き直るとは。だが、4時間かかって「世にも奇妙な物語」の長編新作を見たと思えば、むしろ良くできた内容と言える。

奇抜性    8
アクション性 8
整合性    3
個人的総合 7

2012年4月24日 (火)

ドラマ「リーガル・ハイ」が快調なスタート

 今期も色々なドラマが始まったが、「リーガル・ハイ」がかなり面白い。

 堺雅人が演じるのは、不敗記録を誇る辣腕の弁護士。もともと、クールで知的な役柄を演じることが多い堺だけに、どんなキャラになるかは簡単に予想がつく。
 と思ったら…

Msakai
 子供じみたハイテンションな性格を縦横に演じているではないか。豪邸に執事というアホらしい背景のせいで、もはや実写版「おぼっちゃまくん」のようだ。
 ただ笑わせるだけでなく、初回の事件では、無罪を勝ち取った被告が真犯人だったかもしれない、という灰色の結末を見せており、一筋縄ではいかない展開を見せてくれそうだ。今後に期待を持たせるドラマである。

2012年4月22日 (日)

「アイデア」のビデオ・ゲーム・グラフィック特集号を買ってきた

352  誠文堂新光社のグラフィックデザイン専門誌「アイデア」。何しろ畑違いなので普段は手に取ることもないのだが、4月10日発売の「ビデオ・ゲーム・グラフィック」特集号がすごい、と色々な方面から聞こえてきた。

idea magazine公式

 で、さっそく買ってきたのだが、本当にすごかった。例えば、色々なゲームのロゴを展示したページ。大ヒットタイトルを中心に並べて済ますのかと思ったらとんでもない。誰も覚えていないようなマイナー極まりないタイトルまでしれっと並んでいるではないか。
 そして、フォント分析の記事。8×8という限られたサイズで、いかに多様なものが作られていたか、それを検証して見せたという二度とない内容だ。

中東とも中央アジアともつかない独特の不思議な世界観と、スキンヘッドでヒゲの巨漢というキャラクターで、カルト的な人気を誇った横スクロールアクション。ゲーム内容の奇異な味付けにもかかわらず、書体はシャドウも塗りも無いオーソドックスの極みと言うべき1ドット幅のもの。当時のデータイーストのゲームに見られるこうしたミスマッチ感は、多くの固定ファンを掴んだ。

 「カルノフ」というゲームを、ここまで完璧に表した評言を私は他に知らない。要約の的確さもさることながら、フォント一つから本質を掴むかのような書き方が素晴らしい。きっと、大変な力量のライターさんが書いているに違いない。

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