« 赤ずきんと健康 | メイン | 「FOREVER BLUE 海の呼び声」 その1 »

2009年9月13日 (日)

「ディシプリン*帝国の誕生」獄中記 その4

 ここ数日、当ブログへ検索サイトから来る人の数が、普段の2倍以上に増えている。その検索ワードを解析すると、大変なことになっていた。(画像クリックで拡大)

Ac_dicip

 さすがディシプリン。その謎はいまだ人をひきつけてやまないようだ。Wiiwareの売り上げランクでもじわじわと順位を上げ、一時的なものとは言え、「FF外伝」や「ポケモン不思議のダンジョン」を追い越した。この夏、ドラクエやモンハンが表の話題作とするならば、ディシプリンはまさしく裏の話題作と言えよう。

(以下に結末を含むネタバレが書かれているので、ご用心下さい)

【You】
 Youは、病の妹を助けるために、この監獄の実験に志願した。しかし、所長、風光との初対面の会話で、何やら裏がありそうだと気付く。所長は妹のことをある程度知っているようだ。
 それにしても、主人公の名前がYouとは、手抜き感の漂う命名ではないか。のんきにも私はそんなことを思っていた。そう、紙袋の囚人が現れるまでは。

【*】
 一方、このゲームのタイトルは「ディシプリン*帝国の誕生」。初め、*は単なる区切りの記号だと思っていた。ところが、事前に公開されたムービーで、「アスタリスク帝国」とハッキリ発音されているのに気が付いた。*とは一体何なのか。

【紙袋】
 紙袋をかぶった囚人は、それまでの相手とは違っていた。主人公への敵意をむき出しにし、復讐のために来たのだとまで言う。彼は、主人公が妹にしたことを断罪する。なんと、*とは妹の名前だった。*は、劇団の女優であり、「お兄ちゃんには夢がない」と言っていた。…あの事件だ。
 ここで主人公と妹の名前の由来が明らかになり、さらには、エンディングにおける「記憶を食べてしまう人喰いサメ」の出所もわかるのだが、ショックなのはそこではない。
 今まで、実験のための志願者と思っていた主人公が、本当に罪人だったのだ。それとも、所長はこのことを知っていたからこそ、Youを招いたのか。

【罪】
 すべてのきっかけは*だ。この事件に関する情報は二つ。
 まず、紙袋の囚人が見たという、花に囲まれた*。これが元ネタの事件通りなら、兄である主人公が殺してバラバラにしたということになるが、ゲームもそうだとは言い切れないので難しい。花は弔いの表現かも知れず、死因も明らかにされていない。
 次に、産声。エンディングで、ディシプリンの赤ん坊が産声を上げると、主人公は*の部屋で同じ声を聞いたことを思い出す。何人もの男と交際していたという*。彼女は、父親の分からない子を、自室で産んだのかもしれない。病気とは妊娠のことだったのかもしれない。
 情報の時系列が明確でないこともあって混沌としているが、主人公が*を殺したのではなく、出産に失敗して死んだというセンもありえる。

【風光】
 所長、風光(かぜ・ひかる)。これもまた変わった名前である。しかし、音読みすれば簡単にネタは割れる。哲学者ミシェル・フーコーである。
Photo
 フーコーには、「監獄の誕生」というこのゲームにふさわしい著書がある。飯田和敏なら読破していても不思議はない。そして、画像検索で二度びっくり。ハゲの囚人に激似、いや逆だ、あの囚人、フーコーの似顔絵だったのだな。(ハゲの囚人の名は風候、つまりこれもフーコー。)

【風光と*】
 話がそれた。ネット上では、所長の風光こそが*なのでは、という説がある。確かに、出産にこだわる、*帝国というタイトル、などの点でしっくり来る気がする。しかし一方、主人公が風光の姿を見ても何とも思わないこと、風光が他人として〈妹〉について話すこと、などの矛盾も出てくる。

【能力】
 それにしても、この主人公は特別な能力者である。一見、Youコンの力ですべてを行っているかのように見えるが、そうではない。囚人たちは、主人公との会話ではなぜか本心を見せてしまう。また、鳥にのりうつって、囚人たちの過去を見る場面では、Youコンがその力に驚いていたほどだ。

【妄想】
 エンディングで、主人公はディシプリンを出たが、外はわけのわからない世界だった。さらに、「記憶を食べてしまう人喰いサメ」が主人公には見えている。これらは、内面を描写したビジュアル、平たく言えば主人公の妄想、と受け取った方がしっくり来る。
 そうなると、ディシプリンにおける体験も、主人公の内面を表現したもの、という解釈が生まれる。ディシプリンは、存在しなかった

【歌】
 では、主人公は*を殺したのか。そうではない根拠として、私は、次のものを挙げようとした。まず、エンディング。主人公から*への好意がメッセージから感じられる。そして次に、エンドロールの歌である。「会いたかった」が連呼される歌で、互いの思いが感じられるではないか。
 だが、今、歌詞を確認して私は絶望の淵にいる。

指を触れてころがってしまった
その後、ばらばらに解体された
痛かった
痛かった
痛かった
痛かった

 これは実際の歌詞とは異なる。しかし、こう聞こえる詞を、偶然には作るまい。主人公の罪は重かった。

【仮説】
 主人公は罪を犯し、現実から逃げ、妄想の世界に引きこもった。その心の風景が、子宮のごとき監獄、ディシプリンとなった。囚人たちとの会話は、罪の意識をめぐる内面の葛藤だ。囚人が、会話が終わると消えるようにいなくなってしまうのも、そのためか。
 一方、エンディングにおける外の世界は、ディシプリンの妄想から解かれ、現実へと向かいつつある心の風景を描いているもの、と思われる。主人公の、「そして、明日(*)、会おう。」という言葉が、自殺ではなく、現実と向き合う意志を示す言葉であることを、私は祈る。

【Perfume】
 余談。幕間でダンスを練習している看守が、3人組で広島弁。飯田が開発者インタビューでパフュームのことばかり言っていて、どうかしていると思ったら、ちゃっかりゲームに出演させていたのである(笑)

ディシプリン*帝国の誕生 元ネタ考察(じだゲー出張所仮)
 ↑元ネタの事件の考察など。エンディング歌詞を参考にさせてもらいました。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.blog.eonet.jp/t/trackback/358337/21501693

「ディシプリン*帝国の誕生」獄中記 その4を参照しているブログ:

コメント

はじめまして。僕もご指摘の通り、ディシプリンの検索からやってきましたw。実は、最近モンハン3目当てで買ったwiiに、モンハン熱が落ち着いてきたので、注目してた今作を始めたところです。

まだ途中で、攻略を自力で考える作業も楽しいのですが、今ひとつスープの受けが悪く、色々試行錯誤しております。

ちなみにフーコーは学生時代に本を買ったのですが、本棚のこやしになってます〜。ゲーム中で、一番好きなシーンは食後の排泄タイムですね。それでは、ブログ楽しみにしております。

いらっしゃいませ。ディシプリン、ついにWiiwareでのランキング1位になったようです。ということは、まだまだプレイ人口が増えるのですね、オソロシヤ。

スープですが、色を混ぜるだけでなく、何もしないで待つ(煮込む)ことも、味を変化させるようです。意外に本格的??

コメントを投稿

最近のトラックバック

アクセスランキング