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2010年1月 5日 (火)

マイマイ新子と千年の魔法 その2

 良さそうなのはわかったけど、もう映画館でやってない! との声が何件か届いております。そんな皆様は、今月末、大阪でレイトショー再開しますので、ぜひご覧になってください。

 さて、「マイマイ新子」です。この映画を観て、私は不思議な幸せ感に包まれました。観た人はご存じでしょうが、この映画、明確なハッピーエンドを持たないのです。それなのに、なぜこんなにも良かったと思えるのでしょうか。

(以下に、多少のネタバレを含みます)

 物語の冒頭、新子はおじいさんから郷土の歴史を聞き、1000年前の人々の暮らしを想像します。その見せ方が本作の特徴となっているのですが、しかし、子どもが豊かな想像力を持つのはむしろ当たり前のこと。ただ、この映画の〈想像力〉の扱いはちょっと面白いのです。その想像には種が必要ということです。
 用水路が直角に曲がっているのは、1000年前の町の名残。これは単なる事実であり知識です。新子は想像し、それを生き生きと肉付けしました。
 それだけで飽きたらない新子は、学校の先生に質問します。先生は、幼い頃の清少納言がこの地にいたことを教えます。これにより、新子の世界にヒロインが誕生しました。さらに、遺跡の発掘に遭遇した新子は、昔の少女の屋敷に想いをめぐらせるようになります。
 学ぶとは、本来こういうことだったのではないでしょうか。知識は、子どもが想像力を持って向き合うことで、はじめて生きたものになり、そしてそれはとても幸せな体験なのです。

 現在の学びは、受験や就職といった実利が偏重され、教員も子どもも、考え方が非常に貧しくなっているように感じます。「マイマイ新子」に出てくる郷土の歴史なんてのは、役に立たない知識の典型でしょう。これを何のために知るのか、と問われたとき、私は「心を豊かに」などという、平凡で全く相手に届かない答えしか持っていない。教職に長年ありながらなんという無能なのか、と愕然とするのです。

 新子たちは、観ている私たちに何も押しつけず、楽しく遊んでいるだけです。しかし、この作品は、その過程において、知ること・学ぶことの意味をくり返し伝えます。無意味なものなんてない、ということをこれほど説得力をもって伝えている映画を、私は他に知りません。

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