« 2014年7月 | メイン | 2014年9月 »

2014年8月

2014年8月23日 (土)

「P.T.」に学ぶゲーム制作

 「P.T.」は、PS4で無料配信中のゲーム。謎の新作ホラー、という触れ込みで配信され話題になったが、タイトルは「プレイアブル・ティザー」の意味であり、つまり宣伝を目的としたもの。将来本編が作られるわけではなく、これのみで独立した作品である。
 プレイしてみたが、評判通りの怖さ。行き詰ってしまったので攻略サイトを見たところ、やるべきことができておらず、やってはいけないことはことごとくやっている(笑) セーブデータを消してやり直せば良いのだが、正直怖いのでもう一度見たくない。よって、クリアできる見込みは大変少ない。物語やホラーとしての感想は、よそに任せることにしよう。

Pt
 私が感心したのは、作り方のうまさ。
 画像を見ての通り、背景は緻密で雰囲気たっぷり。何しろPS4、ここで手を抜くとホラーにならない。しかし、無料タイトルにこのクオリティでは、大赤字である。
 「P.T.」のうまいところは、質を落とさずに舞台を極端に狭くしたことだ。歩いて1分とかからないL字型の廊下のみを延々とループし、その間に少しずつ状況が変化。なるほどその手があったか。
 そして、この限られた場所をフル活用して恐怖を演出する。怖いものが出てくることももちろんあるが、音や照明が特に効果的で、たったこれだけの空間でこんなに色々仕込めるのか、と舌を巻く。

 キャラが多く、舞台が広く、プレイ時間が長い。そんな、フルプライスのゲームみたいなものを作ろうとして頓挫してしまうのが、学生などによくあるミスだ。「P.T.」は物量に頼らないゲーム作りの見本とも言える作品なので、これからゲームを作ろうという学生さんなどに、ぜひ参考にしてほしい。

2014年8月21日 (木)

「BROTHERS」、プレイヤーは誰だ その2

スパイク・チュンソフト,インディーズセレクション3作品を期間限定で48%OFF

 「ブラザーズ 二人の息子の物語」、クリアしました。とんでもない名作です。あと数日、セール期間ですので、引き続きおすすめしておきます。

 ゲームを終えてから、ネットで様々な人の感想を読みました。そして満足しました。プレイせずに評価するような人が皆無だったからです。

Brothers_2

 現在、ゲームのプレイ動画が広まり、ストーリーを知るだけならそれで充分、という空気が一部にあります。ところが、「ブラザーズ」は違います。動画で見ても、なるほど、で終わってしまい、大した感慨もわかないはずです。本作は、ゲームでしかできない方法でストーリーを伝えており、それを受け取ることができるのは、プレイした本人だけなのです。この一瞬のために、ここまでの内容が作られていたのか! と気づいた時の驚きを、ぜひ皆さんにも味わってほしい。

・「Nights」の最終ステージ
・「ブレイブリーデフォルト」の終章への入り方

 これらのキーワードにピンとくる方は、特におすすめです。
 以下は、ネタバレ分析とエンディング考察になりますので、これからプレイするつもりの人はなるべく見ないでください。

続きを読む »

2014年8月20日 (水)

思い出のマーニー

 予告編で、金髪碧眼という古典的な姿に描かれたマーニーを見、米林監督の「子どものためのスタジオジブリ作品を作りたい」というコメントも読んでいたので、世界名作劇場に回帰するような内容を予想していたが、完全に裏切られた。

 冒頭、いきなり自己否定が始まってびっくり。杏奈は、ジブリ史上最も暗いヒロインだ。周囲に溶け込めず、周囲を受け入れることもできない。物語は、彼女の目線で描かれるため、悪意などないはずの先生やクラスの友人も否定的にとらえられる。田舎にうつってからは、信子の描き方にそれが顕著。おせっかいな仕切り屋である信子は、太ったおばちゃんのような風貌で、どう見ても小学生には見えない。だがこれも杏奈のフィルターがかかった表現と思えばしっくりくる。
 一方で、マーニーは美しくミステリアスで、風景のきれいさも手伝って、杏奈の世界とくっきりと色分けされている。そして、幻覚とも幽霊ともつかない見せ方に観客が翻弄される。マーニーを見失った杏奈は、道端に倒れているのを発見されるが、これが妙に生々しく、事件性を感じさせる。もちろんこの作品に観客を怖がらせる意図は全くないが、米林監督が本気でホラーやミステリーに挑んだら、けっこういけるんじゃないか、と思った。
 杏奈に共感できる人にとっては、心にずしりとくる作品だが、それは孤立を経験した人という事でもあり、どう考えてもジブリ映画だから観ておこう、という層とは一致しない。マーケティング的には間違っているというか攻めすぎである。
 思えば、米林監督の初の映画「アリエッティ」とほぼ同時に、原恵一の「カラフル」が公開されていた。米林監督はそれを横目で見ていて、今度はこんなのがやりたい、と思って作ったのかもしれない。

追記: 声の演技は、彩香(めがねっ娘)が抜群にうまかった。後で調べたら杉咲花だった。何演ってもうめえな、この子。

キャラクター 8
背景      8
物語構成   5
個人的総合 6

2014年8月18日 (月)

「BROTHERS」、プレイヤーは誰だ その1

スパイク・チュンソフト,インディーズセレクション3作品を期間限定で48%OFF

 これは安い、ということで「ブラザーズ 二人の息子の物語」を買いました。ダウンロード専売のゲームで、今回のセールはPS3ですが、XBOXやPCでも出ています。
 プレイ時間が短い、とのことでしたので、クリアしてから感想を書こうと思っていたのですが、プレイしてみて、これはとんでもない名作かも知れない、特売のうちに記事にしなければ! という思いを強くしたので、これを記します。

Brothers_1

 主人公は二人の兄弟。事故で母を亡くし、今、父もまた病気になっています。特効薬のありかを知り、兄弟は冒険へ旅立ちます。
 お医者さん(村長?)がこのへんの説明をする場面があるのですが、言葉がわかりません。あれ、字幕を忘れてるのかな? と思ったのですが、そもそも英語ですらなく、ニュアンスだけ察すればいい、というストーリーの示し方のようです。ストーリーもビジュアルも極めてオーソドックスなので、何ら困ることはないでしょう。
 しかし、ゲームは際立った特徴があります。兄は左スティック弟は右スティック、二人のキャラを一人で操作する仕組みになっており、これを利用したギミックを次々に解いていくアクションゲームとなっているのです。
 どこかで見たような仕掛けも、この協力アクションによって、一味違った操作感となりますし、おおそうやるのか、と感心させる新しい仕掛けも満載。今のところ難度は低く、簡単だが楽しい、という珍しい感想が出てきます。

 「BROTHERS」をプレイすると、操作のせいで、特に序盤はその煩わしさに閉口します。仕掛けを解く瞬間はともかく、単に歩いているところなどは、片方のキャラが自動でついてきてくれればよいのに、と。現在のアクションゲームでは、AIによる同行キャラ、というのが流行っていますから、その方が時流にも合うはずです。ボタンを押すことでキャラを切り替える、というような操作にすることは決して難しくはありません。
 ですが、それをやっちゃうと、遊びやすくても凡ゲーなんですね。二人とも自分で動かすからこそプレイに血が通う、そのことが、兄弟の距離感にすごくマッチしているんです。プレイがうまくいった=兄弟が協力できた、と、プレイヤーのスキルがゲーム内設定と美しく連携し、物語に説得力が出ています。
 タイトルの通り、兄弟の描写が素晴らしいですね。兄は力持ちで泳げる、弟は身軽で狭いところも通れる、と、ゲーム上の機能差ももちろんあるのですが、同じ人に話しかけても、まじめに情報を集めようとする兄、ふざけたり遊んだりする弟、というようにリアクションが異なり、性格の違いまでしっかり伝わります。

 一般的には、ゲームのプレイヤーは、操作するキャラに感情移入します。では、このゲームの場合はどうでしょうか。兄か弟、どちらかに感情移入する、なんてのは不自然です。私の場合、幼い兄弟を見守る、親のような気持ちになってしまいます。ひょっとすると、兄弟の帰りを待つ父親が、プレイヤーの気持ちに一番近いのかもしれませんね。
 セールは8/26まで。気になった方はぜひどうぞ。

2014年8月16日 (土)

「Stick It To The Man!」が正気の沙汰じゃない その2

― クリアしましたね。
K: 全10ステージで、所要時間は4~5時間ってところ。いや~、やっぱりイカれてるわ。そのうち3ステージが夢・妄想・脳内ステージとは(笑)
― 途中、ずいぶん苦労したようですが。
K: ゲーム的には、あっちで取ったシールをこっちで使って…という典型的なわらしべ長者型システム。それほど難しいところはないんだけど、シールを持ち替える操作がわからなかったので行き詰った。オンラインマニュアルがなく、公式サイト、攻略サイトにも説明がなくて途方に暮れた。たとえゲーム中で説明があっても、忘れることはあるので、やっぱりどっかにまとめといてほしいね。
― 他にも困る人がいるかもしれないので、メモしときますか。

各種メニュー…×で決定、○でキャンセル
左スティック…移動。(奥行方向も動ける場合がある。注意!)
L1+右スティック…思考を読む
R1+右スティック…つかむ
×…ジャンプ
□…地図
十字キーの左右…持ち替え
スライドパッド…なんかカーソルが出るが使い道不明(笑)

続きを読む »

2014年8月15日 (金)

オッサンは歩きスマホ 「WATCH DOGS」その5

Wd_05jpg ようやくクリア。
 同じオープンワールドだったら、GTAの方が面白い、という意見も良く聞くが、同意しかねる。監視カメラを駆使した遊びは、このゲーム独自の面白さ。リアルタイムに敵地を調べられる臨場感が素晴らしく、脇道ではQRコード探しにやっきになった。惜しむらくは、このカメラが、オンラインプレイではほぼ用無しになること。レースは無理にしても、解読の方では、カメラを駆使したかった。

 では以下、エンディングに到達したのでストーリー考察。

続きを読む »

2014年8月13日 (水)

レナードの朝

 ロビン・ウィリアムズの突然の訃報を聞き、これを記す。

 「レナードの朝」は、私の人生において暫定ベスト1となる映画。何度見ても涙なしには観られない。最初に印象に残るのは、患者レナードを演じるロバート・デ・ニーロの迫真の演技。しかし、見返してみると、医師セイヤー役のロビン・ウィリアムズの功績が大。彼が、ニコニコと穏やかに受け止めるからこそ、映画の品が保たれているように思う。
 新薬の力で、30年の眠りから覚めたレナードら患者たち。喜びもつかの間、薬は効かなくなり、徐々に元に戻ってしまう。物語の最後で、セイヤーは、「一度命を与えてまた奪うのが親切なことかい?」と自問する。何もしない方がよかったのではないだろうか、と。
 看護師のエレノアが答える。「命は与えられ、奪われるものよ」 普段のエレノアが言いそうにないセリフだ。だからこそ、そこに核心があると感じる。

 人は生まれてから時間をかけて様々なものを得、死ぬまでに徐々に失っていく。誰もが避けて通れない普遍的な問題を、珍しい病気という設定を借りて、極端な短期間に縮めて見せたのがこの物語なのだ。類似のテーマの作品としては、「アルジャーノンに花束を」「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」が挙げられるが、どれが一番しっくりくるか、ぜひ見比べてみてほしい。
 最後に、本作の原題は「Awakenings」。レナードだけでなく、セイヤーら医師たちの気づきも含んだ題と思われるが、邦題にはそういう深みがなくて惜しい。

診察シーン 10
目覚めのシーン 10
ダンスシーン ∞
個人的総合 10

2014年8月12日 (火)

まさかの完結 「ブラック・ジャック創作秘話5」

 え、もう一冊出るの? しかもこれで終わり? 雑誌を読んでいない私にとっては、出るのも終わるのもいつも不意打ちだ。

Bjsh5

 やはり気になるのは、どうやって最後を締めるか、だ。時間に沿ってエピソードを並べた作品なら、手塚の死で終わることもできるのだが、この作品はそれはできない。色々な人に取材し、時代も行きつ戻りつしているからだ。
 最後に取材されるのにふさわしいのは、誰だろう。息子の手塚真? いやいや、その話はすでにやってしまった。親交のあったマンガ家も一通り出演済みだ。

 予想を裏切って、最後はアシスタントの伴俊男だった。読んでみて納得した。手塚プロ漫画部の最後を知るのは彼だったのだ。伴俊男の「手塚治虫物語」は、資料的価値もある作品で、私も卒論や修論で大いに活用しただけに、ひときわ感慨深いものがあった。
 伴俊男は、「手塚治虫物語」以降、目立った作品を残していない。「ブラック・ジャック創作秘話」の吉本浩二もそうなりはしないか、今はそれだけが心配だ。

2014年8月10日 (日)

「Stick It To The Man!」が正気の沙汰じゃない その1

― 「Stick It To The Man!」は、PS4とPCで配信されているスウェーデン製のゲームです。まず、なぜこのゲームをプレイしようと思ったのですか?
K: PS+で、今だけ無料なのを見かけたもんで。キャラの顔を見て、「Octodad」と何か関係があるのでは、と勘違いしてしまったのも大きい(笑)
― はじめの印象はどうでしたか?
K: 画面がセンスにあふれているな、と。紙人形風に描いてあるんだけど、ペーパーマリオみたいに整ってなくて、手作り感があるのね。いきなり落下死したんだけど、リトライポイントのローラーから印刷されて出てきたのには感動した(笑) ここで名作の予感がしたわ。
― どんな内容ですか?
K: 頭から謎の手を生やした主人公が、ワイヤーアクションやら、シール貼りやらをする。ある日、平凡な主人公の頭上にエイリアンが落ちてきて…

Stickittothe1気絶した主人公の夢がこれ。ピンクの象が鼻から水を注いでいて、エイリアンが溺れかかっているので助けましょう、という場面で、頭の手の使い方の説明にもなっているんだけど、この画面にハワイアンな曲がかかりっぱなしで、底知れぬ狂気を感じる。
― 公式サイトでは、「キモカワ系」という言葉で売ろうとしてますね。
K: キモカワってもっとゆる~いもんでしょ? この狂ってる感はガチですわ。
― 頭から生えてる、光るピンクの手がキュート! とか(笑)
K: 頭から手が生えてもかわいいのはミドナ様だけでしょ。
― この会社が「寄生獣」の権利をとってなくてよかったですね。
K: ほんまそれ。しかし、こんなすごいゲームが出ているのに、全く話題になっていないのは不思議。無料でもやりたくない人が続出しそうなくらいの、このインパクトは見習わないといかんよ。

2014年8月 6日 (水)

MD版「V.R.」を久々に起動

 夏休みに学校でレトロゲーム大会を開こう、という企画が持ち上がり、私のメガドライブが投入されることになった。買ってから21年経つというのに、平気で動く。ロムカートリッジのゲーム機は頑健である。
 さて、ソフトの方であるが、今やってみると特に感慨深いのは「バーチャレーシング」だった。

Vr 元のアーケード版は、セガ初の3DCGゲームとして名高い。ところが、メガドライブに3Dを表示する機能などない。そこで、カートリッジ内にカスタムチップを積んで無理矢理ポリゴンを表示した。任天堂も、スーパーファミコンの「スターフォックス」で同じようなことをやっている。
 その結果、秒間9000ポリゴンという、泣ける売り文句がパッケージ裏に登場。当時としては最高の性能だったのだと思うが、わずか8か月後には、セガサターンやプレイステーションが登場し、3Dが標準になっていくのだから、まさに過渡期のあだ花と言うべきスペックだった。

 では、現在のPS4ではどれくらいポリゴンが出るのか。ちょっと調べてみた。フレームあたり1000万とのことなので、秒間60フレームだと6億となる。ハードの進歩を実感する数字だ。

最近のトラックバック

アクセスランキング