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2014年12月13日 (土)

ブランカニエベス

 スペインの映画で、日本では2013年末にひっそり公開。タイトルは、「白雪姫」の意味。「白雪姫」の物語を、1920年ごろのスペインの闘牛の世界に移し、モノクロサイレントで映像化した。いろいろ攻めすぎていて中身が面白いかどうか大いに不安だったが、結論から言うと、今年最高の映画体験となった。

●新旧映画技術の競演
 サイレントゆえに、音声はなく、時々字幕が出るだけ。演出も意識して当時のものが使われており、チャップリンの頃の映画のよう。役者がサイレント向けのオーバーアクションで演じるのに加えて、アイリスインの使用や、連想したものがオーバーラップするなど、編集も古めかしいことこの上ない。
 そのままでは退屈な映画になってしまうが、物語が動きを見せるとともに、カメラもどんどん動き出す。ぐるぐる回り続けるカメラワークが印象的に使われ、アクションシーンでの素早いカット割りなどは、明らかに現代の映画。
 本作では、新旧の映画技術が夢の競演を果たしているのだ。

●めくるめく映像美
 モノクロであるため、観る人の明暗への意識が強くなる。例えば、屋内の暗さ、晴れた外の明るさが際立つ。白い服から黒い服へ、という物語の転換や、真っ白なシーツの影を使った時間経過も印象的。
 闘牛士の衣装では宝石がきらめき、陽光の中で草木は青く、物語展開は血の赤を思わせる。無い色を想像させるだけの画面の美しさがある。

●衝撃の結末
 誰もが予想する展開を一通りたどった後、衝撃の結末が待っている。これにより、忘れられない一本となるが、人によっては二度と見たくない映画となるかもしれない。
 気になる場面がいくつもあるので、生産数の少なそうなDVDを直ちに確保した。

●最高の映画館
 今回、私がこの映画を観た場所は、神戸のパルシネマ。二本立てでやっている名画座で、幕間で館長から挨拶があるのだが、この映画を特におすすめしていたので観に来た。
 本作は、本編はモノクロのスタンダードサイズだが、冒頭赤い幕が開くところと、エンドロールだけはシネスコサイズとなっている。上映中、それに合わせて幕を動かしており、映画館がこの映画を大事にしていることが伝わってきた。
 終了後、パンフレットを買おうとしたところ、残念なことに売り切れていたのだが、代わりにコピーを譲ってくれた。最後まで素晴らしいサービスだった。

映像美 9
音響  9
オリジナリティ 10
個人的総合 9

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