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2016年6月16日 (木)

同志ユーリ・デレステノフの手記 その4「The Tomorrow Children」オープンβテスト

 ユーリは決心した。もう政府の小役人などに従うものか。
 街はずれの小屋に住む怪しい男、セルゲイ・ニチャンスキーは、やはり来たかという表情を見せると、ユーリにブラックマーケットを紹介した。

Tcb13 配給券は、ここでは価値がない。同志セルゲイの説明によれば、外国では「資本主義」という未知の仕組みがあり、配給券とは異なる貨幣が流通しているのだという。わが国ではそれを外貨と呼んでおり、裏の取引に活用されている。セルゲイは、プレイステーションストアからくすねたという外貨を、気前よくユーリに分け与えた。

 ユーリの暮らしは一変した。
 ユーリはブラックマーケットで武器使用許可証を買い、さらに外国製のロケットランチャーを買った。ついに自ら戦う兵士となったのだ。
 それだけではない。外貨はあらゆる場面で賄賂となった。

Tcb11 例えば建設。施設を建てる際には、パズルを組み立てなければならない。施設が大がかりになるほどパズルの難度は増した。しかし、外貨を支払えばパズルを飛ばして、いかなる施設もすぐに建てることができた。
 また、施設が壊れた際には、手順を踏んで修理しなければならないが、外貨を使えば、一瞬で修理を完了することができた。
 罪を犯し、牢に入れられても、外貨で賄賂を払えばすぐ出ることができた。地獄の沙汰も金次第。ユーリは万能感に酔いしれた。

 ユーリの辞書から道徳の言葉が消え去るのに、それほど時間はかからなかった。目覚ましい実績を上げるユーリのもとには、他の街から依頼が舞い込むようになった。ある依頼は、住人を増やしたいので、マトリョーシカを2体持ってきてほしい、というものであった。ユーリは、他の同志が苦労して発掘したマトリョーシカを、なんのためらいもなくかすめ取った。そして依頼主に横流しし、当局から高い評価を得た。

 やがて実直な同志は、ユーリのことを白い目で見るようになった。ユーリは、誰も見ていない隙を狙って、そいつらの家にロケットランチャーを見舞った。
 だがユーリは、街を守る任務を忘れてはいなかった。飛行型のイズベルクが接近し、ユーリはロケットランチャーで見事撃ち落とした。しかし戦果を喜んでいる暇はなかった。地平線の彼方から、蚊の化物が群れをなしてこちらに向かって来ていた。さっきのイズベルクが呼び寄せたのに違いなかった。
 ユーリは次々に敵を撃った。しかし蚊はあまりに多かった。ついに弾がなくなった。ユーリは囲まれ、誰も助けには来なかった。ユーリは倒れ、冷たく美しいボイドの地面を体で感じる。イズベルクが消滅するときの、美しい景色を思い出しながら、ユーリはこの世を去った。

Tcb12

 ユーリが死んだ場所で、セルゲイは一冊の手記を拾う。ユーリのこれまでが記されている。今後の商売の参考になるかもしれんな。セルゲイはつぶやき、今日の商いへと向かった。(了)

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