手塚治虫 変容と異形 Feed

2016年4月14日 (木)

「甲鉄城のカバネリ」第一話 脅える屍

 「甲鉄城のカバネリ」は、マンガなどの原作に依らない、オリジナルアニメ。作中の装甲機関車そのままに、気合の充満した内容に圧倒された。
 物語は非常にハード。「カバネ」と呼ばれるゾンビの侵攻により、人々は「駅」とよばれる城塞都市に立てこもっている。駅から駅へと物資を運ぶのが、装甲列車である「甲鉄城」だ。主人公の生駒がカバネを倒すことに執着する熱血漢であること、カバネの弱点である心臓が硬い外皮で守られているなど、どこか「進撃の巨人」の変奏曲のような趣がある
 しかしながら、二番煎じな感じはほとんどない。和風スチームパンクとでも言ったらいいのだろうか。侍が刀よりも銃を使いこなし、蒸気鍛冶と呼ばれる技術者が機関車を整備する。時代も和洋も混ざりまくった外連味あふれるビジュアルにわくわくさせられる。

Kabaneri01 初回から案の定、壁は突破され駅が壊滅。謎の少女無名は、カバネに襲われそうになるが…というのが画像の場面。どういう効果をかけているのか怪しく美しいビジュアルで印象に残った。誠に残念なことに、この服装は今回限りとのこと。う~む、もったいない。

2016年3月22日 (火)

花沢健吾「アイアムアヒーロー」19巻

Iama19 巻頭にはZQNが何者なのかをうかがわせる挿話があり、巻末では比呂美が大変なことに。長きにわたった物語も、そろそろ終盤の趣である。

 これを読んでいたおかげで、NHK教育の「漫勉」が非常に面白かった。「漫勉」は、マンガ家の現場に密着し、その作法を解説する番組で、浦沢直樹がプロならではの着眼でポイントを引き出していくのが見どころ。前回は花沢健吾がとりあげられ、ちょうど巻末の回を描いているところだった。締め切りぎりぎりまでねばり、絵にこだわって苦闘している様子に感心した。
 その中で驚いたことがあった。「アイアムアヒーロー」に限らず、今のマンガで、背景を描くときに写真をもとにするのはよくあることだが、なんと、キャラクターを写真から起こしていたのである。主人公、英雄は、花沢自身の顔写真から描かれていた。どうりで似てるわけだ。しかも、見て描くなんて方法ではなく、顔写真を原稿に貼って下書きをしていたのには仰天した。絵がうまいマンガ家なんてのは五万といる。その中で並んでいくには、手段を選んではいられないのだ、というニュアンスの説明をしていた。

 花沢は30を越えてからデビューした遅咲きのマンガ家だが、本作はついに映画化に至った。「ルサンチマン」からのファンの私としては、苦闘が報われたことを喜びたい。

2015年12月28日 (月)

珍品堂が勧める2015年のコミックベスト3

 読み続けているマンガはそう多くないはずなのですが、どういうわけか新刊が年末に集中。何か意図があってのことなのでしょうか。バラけた方が買いやすいのに!

第3位 三部けい「僕だけがいない街」
 来年にはTVアニメと実写映画が控えている話題作。謎解きで引っ張っていた物語から一転、犯人が明らかになってからは、無力な悟が狡猾な敵にいかに立ち向かうか、というサスペンスになりました。映像化は難しそうですが果たして?

第2位 アサイ「木根さんの1人でキネマ」
 Web連載時から、これこそ俺のためだけのマンガ、と思っていたのですが、人気が出たようで単行本化。買ってみたら、エピソード追加どころか、連載分も載りきっていなくてずっこけました。映画感想をアップしたことがある人なら、繰り返し楽しめる一冊です。

Historie9

第1位 岩明均「ヒストリエ」
 9巻では、エウメネスが10年ぶりにある人物に出会うのですが、連載期間で本当に10年かかっており、物語の壮大さに拍車をかけています。ゆったりした連載、単行本発売のペースが、作品内容に合っているという珍しい例。まさに名作の貫禄ってやつです。

2015年12月 5日 (土)

水木サン、お元気で。

 水木しげるの訃報を聞き、不思議な感覚におちいった。あの年齢なら充分長寿、大往生と言えるのだが、心のどこかで水木しげるだけは当分死なないという先入観があり、拍子抜けしたような、変な気分だ。

Yuureikanchou

 追悼の記事は数々あれど、その多くはやはり鬼太郎の作者という紹介のしかただ。そこで、当ブログではちょっとひねった水木しげるの活躍を紹介したい。
 まずマンガであるが、妖怪ものに負けない名作として、戦記ものの中から文庫版「幽霊艦長」を挙げる。水木しげるの描く妖怪は、どこかとぼけた味があって、怖さに特化することがないのだが、その同じ筆致で、自らの戦争体験を描くとシャレにならないおぞましい世界が生み出されるのだ。

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2015年11月 3日 (火)

ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム展

Nmag

 兵庫県立美術館で開催中のこの企画展に行ってきました。
 説明パネルがすごい文章量で、読み切れない! と思ったのですが、展示内容が本になっていたんですね。買って帰りました。

 同時代に展開した異なるメディアの作品を並べ、横断的に扱うというのは、美術展としては画期的らしいのですが、私にはなんだか懐かしい手触りです。
 メディア・アート国際化推進委員会という所が企画しているのですが、委員長が青木保じゃないですか。私が大学院時代に講義を受けた先生でした。なるほどそれらしい。ならば私にも意見を言うくらいの資格はあるでしょう。

 今回の展示、残念ながら、マンガの部、アニメの部、ゲームの部、と小さな展示にわかれており、悪く言うと、何でも少しずつ置いてある量販店みたい。それぞれの連携という部分があまり達成されていなかったように思います。
 例えば、展示の中に「攻殻機動隊」「進撃の巨人」が出てきます。これらはマンガ・アニメ・ゲームのすべてで展開している作品なわけですから、横断的に見るのにふさわしい題材ではなかったでしょうか。伝えたい中身が、メディアの違いによってどう変容するか、そんなあたりも見てみたかったです。
 それにしても、後の作品に影響を与えたかどうか、という観点で選ぶと、日本のアニメを語るうえでジブリが出てこないのですね。なるほど、と思いました。

2015年10月 6日 (火)

「アイドルマスター シンデレラガールズ」第24話

 卯月が帰ってきた。このカタルシスは、数週を忍び続けたリアルタイムの視聴ならではで、後でまとめて観たのでは味わえない感動だ。待ったかいがあった。観続けてきて本当によかった。

Imas2401 私が幼いころ、登場人物の声を担当した声優が、主題歌や挿入歌を歌う、というアニメに遭遇した。ところが、それに非常に違和感があった。歌はうまいのだが、キャラの声でなくなっていて、ちっとも本編とリンクしなかったのだ。そして、そういう経験が一度や二度ではなかった。今のアニメは、ばっちりキャラの声で歌ってくれるので、恵まれているなあ、と感心しきりである。
 今回、卯月が歌った曲は、実に3年も前に発売されているもの。アニメのストーリーを歌詞に寄せてあるため没入感がある。何より素晴らしいのは、歌が新録になっていること。涙とともに歌う臨場感を出すため、CDの音源を使わず、録音し直しているのだ。制作側が、今回のクライマックスをいかに大事にしているかがわかる。「スターライトステージ」がどんなに素晴らしいゲームだとしても、ここまでの感情表現は永遠に不可能であり、アニメにしかできないことを見せつけたこの作品は、やはりただ者ではないのである。
 でも、歌い出しの部分だけで新録に気づいたファン、あんたらが一番すげえよ

2015年9月12日 (土)

「アイドルマスター シンデレラガールズ」第22話

 鬱に堕ちる。笑顔の呪縛の為に。

Imas2201 思わず某ステルスゲームのコピーをパクってしまったが、それはさておき。
 物語は、ついに秋のライブへ。シンデレラプロジェクトの中間評価を兼ねるとあって、常務率いるプロジェクトクローネとの対決になるかと思いきやそんなことはなく、いい意味の競演となって、ライブは成功のうちに終わる。
 しかし、クローネ側で飛躍への一歩を踏み出した凜、ソロ活動で何かをつかみつつある未央らに対し、卯月は一人取り残されてしまう。

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2015年8月19日 (水)

永野護「ファイブスター物語」13巻

Fss13 大事件だ。これは日本マンガ史に残る事件である。

 事件は、連載が再開された2年前にすでに起こっていたのだが、私は雑誌「ニュータイプ」を読んでいないので、先日発売された9年ぶりの新刊でそれを知ることになった。
 なんと、以前の続きの物語であるにも関わらず、設定が大きく変更されている!

 MHがGTMになり、ファティマがAFになったよ~、などと言っても読者でない人には何のこっちゃだと思うので、たとえ話をする。
 「機動戦士ガンダム」はマンガ原作ではないが、仮にガンダムが連載マンガだったとしよう。久々に新刊を買ってみると、何の説明もなく、モビルスーツがエヴァンゲリオンになっており、地球連邦軍がNERVになっている。
 そんな状況なのである。

 「ファイブスター物語」では、これまでにもたびたび設定変更があった。しかし、人知を超えた神々が歴史に介入していく物語なので、何やかんやと理屈はつけてあった。また、歴史の断片を飛び飛びに描くスタイルなので、切りのいいところで変更になっていれば違和感はあまりなかった。今回が異質なのは、話の区切りでないところでいきなり大変更になっていることで、ガンダムでもエヴァでもかっこいいからOK、などという鷹揚な読者以外は正直戸惑いを隠せない。
 永野にしてみたら、マンガを休載して作った映画、「花の詩女 ゴティックメード」が気に入ったので、「ファイブスター物語」をこの器に入れちゃえ、くらいの感覚なのかもしれない。しかし読者としては、こんな中途半端をやられるくらいなら、「ファイブスター物語」を未完にしてでも、新連載を始めてもらった方がまだスッキリする、というのが正直なところだ。
 永野護は、稀代のメカデザイナーであり、「ファイブスター物語」は、彼のデザインのカタログのような側面もあった。そういう意味では、今回の変更は、いまだ衰えぬ創作力を世に示したという意味で成功である。だが読者は物語をないがしろにされたのではたまらない。作品を私物化するな、とのど元まで出かかるが、そもそもマンガなので個人の作品なのだった。

 30年つきあった作品がこんな事件になるとは。まあ、あっさり銀河系を消滅させた挙句、続きが描かれない「銀河鉄道999」よりはましか。

2015年8月 1日 (土)

「アイドルマスター シンデレラガールズ」第15話

美城常務「全てのプロジェクトを解体し、白紙に戻す」

 んだと、このクソババア! 番組中でユニットを壊しては結成して、CDを売りまくるつもりだな! 腐れバンナムの手先め!

 …などとアイドルたちが荒ぶるはずもなく、シンデレラプロジェクトの面々は地下室への引っ越しを余儀なくされる。シンデレラのモチーフをなぞるのはとっくに済んだと思っていたのに、灰かぶり姫の掃除シーンから、まさかのやり直しである。今後、常務という継母から、いかにして解放されるのであろうか。

Imas1501

 このような苦境にあっても、みくにゃんはとんでもなくかわいい。なんというか、もう、がんばれ。

 さてさて、継母たる常務は高垣楓に目をつけ、大きな仕事で売り出そうとする。もしやこの先輩アイドルがダークサイドに堕ちていじわる姉さんを担当するのでは、と一瞬ひやっとしたが、楓はにっこりとそれをいなす。さすがシンデレラガールズ随一の人気キャラである。ダジャレの印象しかなかったゲーム未プレイ組も、すっかり彼女の虜になったことだろう。

Imas1502

 アイドルの何たるかを余すところなく体現する楓。彼女の株が爆上げなのはうれしいが、常務も大したことねーな、と早くも思わせてしまうのはちょっと失敗かもしれない(笑)
 そういえば、ディズニーのシンデレラでは、魔法使いの服は緑で表されることがある。今回の楓の行動が、シンデレラたちの希望となっていくのだろうか。

2015年7月27日 (月)

「アイドルマスター シンデレラガールズ」第14話

 3か月ぶりの再開。オープニングの集合シーンを見るだけでもう幸せ。

Imas14 アイドルフェスの成功から1か月、仕事も徐々に増え、シンデレラプロジェクトの面々は順調な様子。そんな中、プロデューサーに何者かがつきまとうという事件が起こり、アイドルたちは探偵ごっこのようにその状況を楽しむ。
 物語は、その合間に、シンデレラプロジェクト以外のアイドルを積極的に登場させていく。今後の展開への布石だろうとは思うが、何しろ元は総勢200人に及ぶアイドルが登場するカードゲーム、主要キャラ以外で自分のひいきのアイドルがいつか登場するかもね、となれば視聴せずにはおれまい。畜生、うまい仕込みだな!

 本当の事件はラスト1分に待っていた。美城常務からの、プロジェクト白紙宣言。ええ~、マジか。トップの方針転換に振り回される話とは、お花畑からいきなり生々しい話にチェンジしたな。これで次回以降を観ないというのはありえない。やはり構成がうますぎる。

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